当社の無電解めっきは、無電解ニッケル-リンめっき(中リンタイプ):無電解ニッケル-ホウ素合金めっき(ニッケルボロン):無電解ニッケル-リン/PTFE複合めっき:黒色無電解ニッケル-リンめっきの4種類があります。
例えば、無電解ニッケルめっきは電気ニッケルと比較すると浴の組成は複雑です。
□電気ニッケルめっきの組成
ワット浴 |
ウッド浴 |
硫酸ニッケル 220~380g/L 塩化ニッケル 30~60g/L ホウ酸 30~40g/L 添加剤 |
塩化ニッケル |
□無電解ニッケルめっきの組成
成分 |
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金属塩 硫酸ニッケル |
ニッケル塩、ニッケルイオンの供給源 |
還元剤 次亜リン酸ナトリウム |
ニッケルイオンを金属に還元 |
pH調整剤 水酸化ナトリウム |
析出速度、還元剤の利用効率及びめっき膜の性状に対してきわめて大きい影響がある |
pH緩衝剤 有機酸 |
めっき反応の進行と共にpHは変化する。pHの変化を出来るだけ抑制する |
錯化剤 有機酸 |
亜リン酸ニッケルの沈殿が発生するので、これを防止するのに用いる |
促進剤 硫化物 |
めっき速度を促進させ同時に水素ガスの発生をおさえて金属の析出効率を上げる |
安定剤 有機系化合物(鉛フリー) |
めっき浴の分解を防ぐ |
改良剤 界面活性剤 |
素地との濡れ性を改善 |
□無電解ニッケルめっきでの失敗例
①めっき液の自己分解、めっき速度の異常などが発生した事があります。めっき液の補給でトラブルがありました。
②めっき槽はSUS材を使います。本来、SUS槽は不動態膜で覆われていますので、めっき槽に無電解ニッケルは付きませんが、金属片の蓄積や不動態膜の劣化で製品ではなく、めっき槽全体にめっきを付けたことがあります。
③無電解ニッケルは水洗水や設備周辺に藻が発生しやすいので、製品に付着して困ったことがありました。
④快削鋼や快削黄銅・一部の合金の中には前処理によって、めっき触媒毒を出すものがあり、素材表面の触媒毒濃度が高い所に無めっきやフクレが発生する。
⑤無電解ニッケルめっきには、単位めっき液量当たりの一度に処理出来る最適表面積があります。浴負荷と言いますが、処理量や撹拌状態によりエッジ部分などステップめっき(めっきが薄い、めっきが付かない)が発生しやすい。