クロムとクロメート処理

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クロム

金属クロムめっきとクロメート処理

「この製品クロムめっきしています。」

 と言うと、大抵のお客様はこう言います。

「6価クロムが溶出してきません?」       

「いやいや、溶出しませんよ!それに3価クロムめっきですから」

 お客様からよく質問を受けます。その事についてまとめました。

 

 1つ目の疑問、クロムめっきは6価クロムを溶出するか?

 まず、なぜ6価クロムがめっき皮膜から溶出するという話が出てきたのでしょうか?

 これは、RoHSの基準ができたきっかけの一つでもあります。

 放置されていた車のめっき皮膜から酸性雨で6価クロムが溶け出し土壌を汚染するという公害問題がことの発端です。

 でも、このめっき、クロムめっきではありません。

 亜鉛めっきに施されたクロメートからの6価クロムの溶出です。

 クロメート膜はめっきとは異なり、金属クロムではなく6価クロム自体でコロイダル状(ゼリーの様な)膜を形成します。ですので、酸性雨により、皮膜が壊されるとそのまま6価クロムが溶出します。

 クロムめっきでもクロメート膜は存在しますが、6価の亜鉛クロメートに比べ比較にならないくらい薄い皮膜です。一番耐蝕性の良い6価の緑色クロメート(軍隊の緑色)で50-120mg/m2、6価の有色クロメート(虹色)で10-40mg/m2の6価クロムを含有します。RoHSの閾値が1000ppmです。

 クロメート膜が1.5 g/m2付着するとした場合、緑色で約30000ppm以上、有色で6000ppm以上となります。ちなみにクロムめっき(3価・6価共に)は、金属クロムの為6価クロムは0で、溶出することはありません。(6価クロムめっきの場合、製品の形状及び水洗状況により、残差として溶出することが稀にあります)

クロムの変質

 3価クロムめっきが6価クロムに変質するか?

 3価クロムめっきと言っても、施されためっき皮膜は、3価クロムではなく金属クロムです。したがって、めったな事で6価クロムに変質することはありません。なぜこんな話が広がったのかといった疑問があります。

 話の発端は、亜鉛クロメートです。この場合、初期の頃の3価の亜鉛クロメートから、6価クロムが溶出したことが、話のきっかけです。3価クロメート皮膜も、6価クロメート皮膜同様めっきとは異なり、金属クロムではなく3価クロムで皮膜を形成しています。

 この皮膜にはコバルトが、膜改質剤として添加されています。このコバルトがより安定化するために、3価クロムの電子を取ってしまう事が起こり、3価クロムが6価クロムに変質してしまいました。(現在では、改良されほぼ発生しない)

 先にお話しした通り、3価クロムめっきは、析出しためっき皮膜は、金属クロムですので、同じようにコバルトがあったとしても同様のことにはなりません。ちなみに、3価クロムを800℃で熱すると6価クロムに変化します。高温になった場合、ある条件下で金属クロムも徐々に6価に変わる可能性はあります。これは、ステンレスに含まれるクロムについても同様な可能性があることも意味します。

「お客様!3価クロムめっきは、めっき膜は金属クロムになっていますので、6価クロムが溶出することはありませんし、6価クロムに変質することもありません」

クロムに関するめっき皮膜処理

6価クロムめっき :金属クロムめっき皮膜を形成

3価クロムめっき :金属クロムめっき皮膜を形成

6価亜鉛クロメート:6価クロムのコロイダル皮膜+亜鉛めっき皮膜

3価亜鉛クロメート:3価クロムのコロイダル皮膜+亜鉛めっき皮膜

 4回に渡りクロムめっき、亜鉛クロメートの環境に与える影響についてお伝えしました。ここを聞きたい、これはどうなの?など質問が有りましたらご遠慮なくご連絡下さい。

(ヒキフネレポートNo.78&No.79より)

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