めっき製品の長期保管:梱包材等による変色やシミの発生

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梱包・輸送・保管によるめっき不良

年に数回、変色やシミが、我々も検査し、お客様も検査を行ったにも関わらず、その次のお客様で見つかるといった不具合が見られます。それらの原因は、素材やめっきではなく、梱包材や輸送、保管方法である可能性があります。
一般的に、めっき後の製品は、トレーに入れられ、上下に段ボールの仕切りで挟まれ、段ボール箱に納められます。そして、宅急便等でお客様の倉庫へ配達されます。通常ならば、特に問題なく、特に変色やシミの発生は無く次工程の組立や次のお客様に納品されます。しかし、ある要因が加わると変色やシミが発生します。

ケース1:長期間保管による梱包材からのアウトガスによる腐食

部分変色の拡大写真

梱包材の段ボールやクラフト紙には、パルプ製造の際に使用される硫化ソーダの影響で、硫黄が5~26ppm含有しています。めっき製品、特に塗装等でコーティングされていない製品を段ボールに密閉された状態で数週間以上保管すると、段ボール等から硫化ガスがアウトガスとして発生します。

そして、このガスにより、めっき表面を硫化させ変色が発生します。アウトガス発生元は、段ボールだけではなく、接着剤、製品をモールドした場合のゴム・プラスチックや製品を取り付けた皮革からも発生します。

ケース2:結露によるシミ、腐食の発生

結露シミの拡大写真

梅雨時など、昼間30℃まで気温が上がり、夜20℃近くまで気温が下ります。また、夏場、30℃以上で輸送され、又は。空調の効いていない倉庫に保管されている物が、冷房の効いた部屋に開封されず置かれる事もあります。こういった夏場の暑い環境から涼しい環境へ移されたとき、梱包内部では結露が発生します。

気温30℃湿度80%の状況から20℃まで下がると1m3の空間当たり6.6gの水が放出されます。その水は、当然めっき製品を濡らします。この結露した水は、表面の見えない汚れを溶かし、回りの空気の汚れも溶かし込みます。その後、凝縮乾燥されていきますので、これがシミとなって品物表面に現れます。また、結露中にケース1 の事例が同時に発生すると、結露凝縮した部分を集中的に腐食した部分腐食が発生します。

それでは、この現象を起こさない為には、どのような対策が必要でしょうか?

 

対策1:すぐに製品を使用する。

まずは、めっき製品を梱包の状態で長期に保管するのではなく、なるべく早く開梱をおこなうのがベストです。

対策2:アウトガスの出にくい梱包材の使用

普通の段ボールからアウトガスの出にくい防錆段ボールまたはプラ段へ変更する。段ボール直接トレー梱包ではなく、ビニール袋内にトレーを入れ、アウトガスが製品に触れない梱包方法にする。(ビニールによってはアウトガスを発生させたり、アウトガスを通してしまう物もあるので梱包材料業者の確認が必要です)

対策3:シリカゲル等の除湿剤の使用

結露防止の為、製品をビニール袋に密封し、シリカゲル等の除湿剤や除酸素剤を使用します。この時、ビニール内部の梱包材は、アウトガスの出ない梱包材を使う必要があります。箱の大きさにもよりますが、数個のシリカゲルを入れておく方が良いと考えます。(除湿剤、除酸素剤によってはアウトガスを発生する物もありますので、購入業者にご確認をお願いします)

以上ですが、長期間の保管や事例等の現象があるようでしたら、梱包仕様の変更のご検討をお願いします。

参考文献:
  1. 腐食センターニュースNo.046「電子材料としての銀の腐食挙動と硫黄ガスによる腐食の特徴」(4 回シリーズ)2008年9月 横浜国立大学留学生センター 石川雄一
  2. 腐食センターニュースNo.053「段ボール箱に保存したところ・・・」2010年5月

*いずれの文献も以下から参照できます。
http://www.k0906n.sakura.ne.jp/
公益社団法人 腐食防食学会 腐食センターホームページ センターニュース

 

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